星風Pの雑記帳

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【ネタバレ有り】『ローグ・ワン』には帝国軍兵器への愛が絶望的に足りない

世間では絶賛されているらしいローグ・ワンですが、個人的には余りにもがっかりでした。その理由は、帝国軍の殺気が全く足りず、戦闘シーンが緊張感に乏しいためです。

インペリアル級スター・デストロイヤーといえば、帝国軍が誇る大型戦艦です。その全長は実に1.6kmであり、無数の砲台が搭載されています。その恐ろしさは、Ep4の冒頭シーンで実に的確に表現されていましたよね。

今作『ローグ・ワン』においては、このスター・デストロイヤーこそが最大の強敵であり、その恐ろしさをいかに巧みに描くか、が、戦闘シーンに緊張感を生む上で最大の鍵と言えるでしょう。

帝国軍は、このスター・デストロイヤーを少なくとも数十隻という規模で配備しています。一方の同盟軍の艦隊は、というと…

同盟軍最大級の戦闘艦で全長約1.2km、これが2隻組で戦ってようやくインペリアル級スター・デストロイヤー1隻に勝てるかどうか、という程度の代物に過ぎません。その数も多くはなく、スター・デストロイヤーとの正面戦闘は、戦力に乏しい反乱同盟軍にとって、極力避けるべき行為なのです。故に、Ep4、5においては、大型艦同士の対決が描かれることがなかったのです。

このような帝国軍と反乱同盟軍との戦力規模の違いは、反乱同盟軍がその全力を投入した「エンドアの戦い」(Ep6) でよく表現されていました。この「エンドアの戦い」においては、帝国軍艦隊はデススターに攻撃を譲るために攻撃せずに待機していましたが、この帝国軍艦隊が全力で攻撃に出れば、デススターの攻撃がなくとも戦いは一瞬で終わっていたことでしょう。

 

では、『ローグ・ワン』ではどうか…?

 

俺は感動しましたよ。

 

帝国軍の巨大なシールド基地を、あのインペリアル級スター・デストロイヤーが2隻も守っている。同盟軍はそこに、小型機部隊だけではなく艦隊を投入したのです…!

艦隊と言っても、推定全長1.2km級? (もっと小型かもしれない) の大型巡航艦が1隻ある他は、フリゲート艦やコルヴェット艦といった中小の艦艇のみ。インペリアル級スター・デストロイヤー2隻と対峙するにはあまりにも脆弱な戦力です。せいぜい、多少時間稼ぎできる程度で、短時間での全滅は必至に思われました。

にも関わらず艦隊を投入した、この戦いに懸ける同盟軍の悲壮な覚悟に、俺は感動したのです…!

そして、その脆弱な反乱同盟軍を迎え撃つ帝国軍のインペリアル級スター・デストロイヤーが砲撃を開始…

 

…することはありませんでした…!

 

同盟軍の巡航艦も、帝国軍のインペリアル級スター・デストロイヤーも、ただその場に居るだけで、砲撃する様子は全然無かったです。Ep6においては、帝国軍艦隊は攻撃しないように命令を受けていました。しかし今回のケースではそうではなかったわけで、双方全力での壮絶な砲撃戦になって然るべきでした。

ところが、描かれた映像は、大型艦同士についてはお互いに睨み合ってただけ…。はぁ…? 全く意味が分からない…。

他にも、帝国軍側の対空砲火があまりにもお粗末でした。まず、砲台の数が極めて少ない 。それも、対空砲座というよりは対艦砲台みたいな印象の大型砲台です。Ep4のデススター戦においては、デススター上に多数配置された対艦砲台は、反乱同盟軍の小型機部隊を追い切れず、無力でした。今回の『ローグ・ワン』ではその数も少なく、ほとんど脅威とはなり得ない、と思いきや、何故かそのお粗末な対空砲火に吸い込まれるように突っ込んで次々と撃墜される反乱同盟軍機…。おいおい…。

 

惑星地表の戦いにおいても帝国軍はお粗末でした。AT-ATといえば、Ep.5「帝国の逆襲」の序盤で反乱同盟軍を苦しめた4脚型の重戦車です。反乱同盟軍の固定砲台の砲撃がAT-ATの弱点と思しき脚部に直撃したものの、AT-ATは無傷であり、反乱同盟軍の兵士が絶望するシーンが印象的でした。

ところが今回の『ローグ・ワン』では、Uウイング (兵員輸送ヘリみたいな役割の機体)  のドアガンの射撃により、AT-ATの脚部は脆くも崩れ去り、撃破されてしまうのです。ドアガンごときの威力は、固定砲台に比べれば大幅に劣る程度の代物に過ぎないはずなのに…。今回のAT-ATのお粗末さはAT-ATとは思えない脆さだけではなく、火力も不足気味で、逃げ回る反乱同盟軍の兵士をなかなか仕留めきれずにいました。うーん…。

 

総じて、戦闘に参加している戦力規模に比べて飛び交う砲弾があまりにも少なすぎ、帝国軍の各兵器がその本来の実力に比べてあまりにもお粗末に描かれており、全く緊張感の無いくだらない映画、という印象でしたね。

 

クライマックスで駆けつけたダースベイダーの乗るインペリアル級スター・デストロイヤーについては充分に恐ろしく描かれていましたし、その後のダースベイダーの描写も見事でした。

しかし、その前に帝国軍のお粗末な姿をあまりにも多く見せられてしまったので、ダースベイダーの乗るインペリアル級スター・デストロイヤーだけは強い、みたいな描き方に説得力を感じることはできませんでした。

 

結果だけ見れば、この戦いに参加した反乱軍部隊はほぼ全滅しました。しかし、圧倒的な戦力差に対しよく持ちこたえて目的を達し得たのは、制作陣が帝国軍を本来の実力よりも大幅に弱く描いたためであり、そんなことでは本当の緊張感は生み出せないのです。双方に全力で戦わせてこそ、本当の緊張感に繋がるのです。

 

総じて、登場兵器の設定考証があまりにもお粗末なのです。まずその考証をしっかりした上で、映像を考えるべきなのに、先に作りたい映像があって、その映像に合うように雑に兵器を描写した結果、破綻している、という印象です。この手の映画においては、各種の兵器は重要な「キャラ」であり、作り手のキャラ愛を試されるわけですが…。Ep7もそうでしたが、今作でもまるでダメ、ですね。はっきり言って論外…!

 

特に今作は戦争映画、ミリタリー映画としてのスター・ウォーズだったはず。この手の映画においては、登場兵器の考証は極めて重要な要素なのに…。

 

要らないんですよ、姿形だけは昔のままだけど、その力が大幅に衰えた人気敵キャラが登場するスピンオフ作品なんて…!!

 

スター・デストロイヤーを初めとした帝国軍兵器が大好きな俺にとっては、とても辛い映画でした。

 

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本作におけるスター・デストロイヤー(ダースベイダーの乗艦を除く)は、だいたいこんなイメージでしたかね。(※地元の映画館のロビーにあった展示物です。)

 

薄暗い中で戦う反乱同盟軍機が何故か前照灯を点けてたのも嫌だったなぁ。恐らくは視界確保のため…に役に立つはずもなく、むしろ敵に自らの位置を教えるだけです。では何故前照灯を点けてたのか? それは恐らく「観客に機体の位置を分かりやすく示すため」であって、戦闘行動をする上で必要だったから、では無い。こんな理由で戦闘行動をする上ではむしろ逆効果な前照灯を点けさせてるわけです、この制作陣は。つくづくくだらない。

 

Ep7も最悪でしたし、やはり俺の好きだったスター・ウォーズは死んだのです。

確かに、Ep7も今作も、商業的には大成功だったのでしょう。ライトファンに幅広く受ければそれで良しとし、マニアックな要素へのこだわりはすっぱり切り捨てる、そういう徹底した商業主義はいかにもディズニーですね。そうやってスター・ウォーズは殺されたのです。ディズニーという悪の帝国に。

今後登場するEp8以降および各種スピンオフは絶対に観ません。ディズニー大嫌い。過去作だけ楽しめればそれで良し。

2017/3/20 追記:

なお、あれはAT-ATではなくAT-ACTという輸送機である、という裏設定があったようだ。故に耐弾性はAT-ATに比べれば大幅に脆弱、ということらしい。しかし問題点のひとつが解消されたとしても、全体としては大駄作という評価は俺の中では不変である。

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